『アレルヤ、僕らの惨めなBLUE』反省会

春になると日中めっちゃ眠くて夜に寝付きが悪いという日々を毎年送っているんですが、そういえば表題の同人誌は3月4月にそんな身体のサイクルだからと思って毎日朝まで作業をしてたなと思い出し、そうやってせっかく色々想いながら反省しながら同人誌を作っているのに忘れてしまったら悲しいな…と思いブログに残すことにしました。

あとはもともと高校のときに開設したブログをネット上の身辺整理の際に削除し、そのことを今でもわりと後悔しているというのもブログ立ち上げの動機の一つです。長々と思考の壁打ちできる場所が欲しい、それを残して忘れた頃に読み返して自己愛の栄養素にしたい、今のところはそんな考えです。

すごい暇やで!!とか、制作の裏話とか聞くの好きやで!!という方がふらっと読んでくれたら嬉しいです。私自身が好きに書くので好きに読んでほしい。私は好きにした、君らも好きにしろ…!!

 

electron1513.booth.pm

 そんなこんなで、表題にしたこの同人誌について書こうと思います。

表紙の文字の色についてなんですが、photoshopCMYKのままjpegpng)保存→ネットにアップデートと言う流れだと勝手にRGBの色調に変更されちゃうんですね。RGBモードに変更してから保存すればネットにアップしてもそのままの色味にできるらしいと冬コミで出した本の作業過程で学べました。

修正した表紙画像、BOOTHだと差し替え可能なんですがpixivだと有料会員じゃなきゃ無理みたいですね、悲しい…。『箱詰物語』もその問題を抱えた表紙なんですが、あれはあれでまぁ良いかな…という色合いになっているのでこの『アレルヤ、僕らの惨めなBLUE』表紙だけサンプル部分の差し替えました。

ちなみにDLできるPDFに添付している表紙は修正必要ないverなので大丈夫です。ややこしいですね。Adobe使いこなせるように頑張ります…。

 

■構想とプロット

「かえみゆで記憶にまつわる話が書きたい」とはずっと思ってて、そのためのプロットや設定などをずっと考えていたので(多分二年くらい)(本格的に考えたのは頒布の一年前くらい)、没ネタがめちゃめちゃめちゃあります。

ツイッターでもよく書いていたのは「新田ーニャの二人をもっと掘り下げる」という点。というのも、そもそも劇中劇オンリーではなく劇中劇+この役を演じることで変化していく本人たちの心情と関係が書きたかったので、自然と新田ーニャの二人も掘り下げられるはずだったんですよね…。

ただ、書き始めてみてから「劇中劇を書く」「それに伴う本人たちを並行して書く」「役やシーンに本人の感情や変化をリンクさせる」という点について「は?むず」となり、今の自分だと劇中劇オンリーでなんとか書きたいものを書くというのが限界と理解しあの本文に至りました。

新田さんに片思いをするアーニャちゃん(劇中)、アーニャちゃんに片思いをする新田さん(リアル)、書きたかった~~~~~~~この点についてはめちゃくちゃ後悔しています、ちゃんと書けてたらめっちゃ楽しかっただろうな……様々なことに葛藤してつらくてくるしくて泣きながらそれでもアーニャちゃんが大事で大事で仕方ない新田さん、性癖です。

 

そのほかに、美優さんのあの子についても本当は絡ませようと思っていました。生まれ変わったあの子が記憶喪失の楓さん、とか。というのも、こういうの書きたいな~って漠然と考えていたときに実家で一緒に育った猫が急逝してしまい、そのときにすごく色んなことを考え込んでしまったためです。大事な子と二度と会えなくなってしまうのは悲しいですね。

でも結局それだと「美優さんと楓さんの物語」は書けないよな、どっちも軽んじることになってしまってしんどいな、と思い没になりました。現状、美優さんがあの子について触れたテキストなどが私にとって優しいのは事実なので私が特に何かを書く必要はないな!と思っています。ありがとうシンデレラガールズスタッフの皆さん。

 

そうして「楓さんと美優さん」にきちんとフォーカスすると決めたとき、めっっっちゃ悩んだのが記憶に関する設定です。美優さんが喪失する側なのか、楓さんが喪失する側なのか、失くす物語なのか思い出す物語なのか、記憶を失くすんだとしてそれはどういう症状なのかなど…

そもそも記憶にまつわる話が書きたいと思ったのが、今でも胸にある朗読劇『私の頭の中の消しゴム』を観劇して受けた衝撃をどうにか形にしたいと思っていたからなんですね。単純なオマージュとして若年性アルツハイマーを扱えればよかったんですが、この症例を創作で扱うほどの覚悟や責任のようなものが自分の中に無く、結局「自分が描ける範囲で」という状況で生まれた設定があの楓さんの症状になります。

それはさておき書き始めるときに観ておかないとと思って観た映画が『明日の記憶』という映画です。

movies.yahoo.co.jp

終わりのシーンが死ぬほど切なくて死ぬかと思った……。あと『アリスのままで』もいつかちゃんと観ないとと思っています。精神が元気なときに観ます。

 

 

「3日しか記憶が保たない」というのは、仕事で短期記憶と長期記憶がうんたら…という話に一度触れたことがあって、そこから拾いました。細かな症状の原因なども考えていたんですが、本編ではまぁ不要な情報として出ることがありませんでしたね…。精神的なものではなく、実際にそういう回路が傷付いているという設定なので楓さんが治ることはないです。多分この人はきっととても短命であるということまで覚悟のうえで美優さんは戻ってきているのですが、今目の前のことに二人ともがいっぱいいっぱいだったので描写さしこめませんでした。

願わくばこの小説を読んでくれた方が朗読劇『私の頭の中の消しゴム』にも触れてくれますようにと思っています。愛がどんな形をしているのか定義はできないけれど、この話の中にいる浩介と薫は確かに愛の形をしていると思っているので。朗読劇版、書籍も出ています。(amazon中古しかないけど…)

keshigomu.info

私が目指した二人です。

 

劇中劇・舞台という設定を採用したからには実際に壇上で限られた時間で上演されているようなものを書きたかったので、簡略的に書いた部分が多くあります。特に楓さんの目線だと「回想」や「積み重ね」が一切できないので、難しさに泣きながら書きました。どうしても同じことで葛藤してばかりのシーンになるから読んでて飽きない塩梅…と唱えながら書いた結果こうなりました。楓さん目線の第一部がやや駆け足で過ぎ、美優さん目線の第二部でゆっくりと謎解きがされ結末を迎えるという展開は我ながら舞台脚本っぽくて満足しています。

実際に「最後まで読んだ後に第一部をもう一度読みました」というようなご感想をいただいたときはめちゃくちゃハッピーな気持ちになりました。感謝…!!!!

 

 

■イメージソングについて

 

KOKIAさんの『I believe ~海の底から~』という曲をアホほど聴きました。

I Believe ~海の底から~

I Believe ~海の底から~

  • provided courtesy of iTunes

 一部、二部の終わりは特にこの曲をイメージしています。高垣彩陽さんが歌っている曲の中に『記憶の湖』という曲があって、この曲で「記憶=水底へ沈み積もっていくもの」というイメージが私の中で生まれていて、だからこの話を書くにあたり底へ静かに沈んでいく楓さんのイメージが頭の中にあって、それに合った曲なにかないかなと探した結果出会った曲です。

あと、エピローグに「子供みたいな顔で」という描写がありますが、これは茅原実里さんの『逢いに行きたい』という曲の歌詞から受けた描写になります。

www.kasi-time.com

朗読劇『私の頭の中の消しゴム』に茅原さんも一度出演されたことがあって、そして生まれた曲だと思っているし何年も前から大好きな歌なので、どうしてもどうしてもどうしてもこの曲を絡めたかった…。

そして目指したかったのはTRUEさんと茅原さんがデュエットで歌っている『ふたりごと』という曲です。「私の片割れは多分君なんだ 君の片割れに私がなるよ」という歌詞が、楓さんと美優さんなんだよな……。

ふたりごと

ふたりごと

  • provided courtesy of iTunes

 その他、「アレルヤ」という単語についてはhideの『MISERY』という曲が大好きなのでいつか絶対使おうと思っていました。あと絡ませてはないけど作業期間にめっちゃ聴いてたのはメロキュア『Agape』とかGalileo Galilei青い栞』とかKalafinaアレルヤ』とか坂本真綾『スピカ』とか寿美菜子『feel in my heart』とかです。

あと『私の頭の中の消しゴム』のサントラばっかり聴いてました。

tower.jp

あとこれは音楽関係ないんですけど、二部の最後の方で「大樹のもとで~」という描写があるんですが、これは多分TRUEさんの『フロム』というCDジャケットがすごい好きだから影響されたんだろうなと思い返して気付きました。

tower.jp

 

 

■表紙とかデザインについて

 

絵って本当に難しくないですか……?????頒布当時は満足していたけど(というかこれ以上何もできなかったんですが)、白すぎたな~~~って今では反省しています。一周まわってこれえぇんちゃう!?とも思えないくらい白い…。

明朝体のタイトルがバーーンって出てるデザインのやつ大好きなのでそれに関しては満足です。なんというかまぁ、画力もデザインもこのときはこれが精いっぱいだったという形のものがあれば成長が目に見えていいですね…。

裏表紙に書いてある「再会」という二文字に関しては、私の個人的なかえみゆのテーマにしている単語です。この本で書けて良かったなと思っています。あと本版はなんと致命的なスペルミスをしています、深夜作業からの入稿、ダメ、絶対。

 

奥付に関しては、文字でかない?と印刷されたの見て思いました。photoshopでページ作成してInDesignに張り付ける作業をしたので、文字サイズ分かんねぇな~?と思いながら作成したんですけどこの反省を活かして次の本からはInDesign内で奥付作りました…

 

 

■頂いたご感想など

 

長文でのご感想をたくさんいただいた作品です。めっっっっっっちゃ嬉しい……。かえとみゆで書きたかったものを詰めたのがこの小説なので、かえとみゆが好きやでという方に拾ってもらえてとても嬉しく思っています。

個別にお返事できていませんが、めちゃくちゃ読み返したりをしています。今後かえとみゆで、本を出すまではないと思いますが(書きたいもの全部書いてきたので…)またいつかSSとか書きたいな~~と思います。

 

そういえばこれは裏話なのですが、作中で出てくる二体の人形の名前はドイツ語から取っていて、日本語の意味はトレーネが「涙」、リーベが「愛」です。トレーネを失いリーベを得るお話と思いながら書いた小説です。

いつかまた何か思い出したら追記するかもしれませんが、とりあえずこれでこの本の反省会はおしまいです。