最近観た映画(主に『岸部露伴ルーブルへ行く』)について

Twitterがないなってしまいそうなので、新しいSNSについて模索しています。

とりあえず昔にとったはてなブログがあったのと、自分が何か発信するとしたら壁打ちが一番いいな…という思いがあったので、ブログを書いてみました。

 

最近映画をそこそこ観たので、その中でも2作ほど感想を書きたいと思います。

感想にはネタバレも含みますので、その点ご留意ください。

 

■岸部露伴 ルーブルへ行く

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映画館で観ました。

ジョジョ、漫画は未読、アニメは1部の全話、2~3部の一部を視聴済、このドラマは全話観たという人間です。

なんか確か高校生の頃とかに友達が持ってきてたジャンプSQ(雑誌)を回し読みして、露伴先生の漫画が載ってた気がするな…くらいの思い出があります。

 

ドラマが面白くて好きだったので劇場版も楽しみにしていました。脚本の小林靖子さんについては、「短編は観たやつ全部面白かった」「長編は短編ほどじゃないけど面白いと思う」という印象があり、ルーブルへ行くも同じ感じで「短編ほどじゃないけどしっかり面白くて好き」という感想です。

全体的に暗い画作り(パリはめちゃくちゃ曇りが多い)の中で荘厳たる美術品が並ぶさま、そこで展開される「黒い絵」を巡り先祖までの罪をたどるほの暗い物語、め~~~ちゃくちゃ好みでした。

物語の後半では、黒い絵がどうして生まれたのか、何故それに露伴先生が導かれたのか、どうしてこの結末と至ったのか、等がきちんと描かれており、スカッとはしないながらも納得を得て帰路につけました。

 

個人的には、「先祖の罪までさかのぼる」「血が繋がっているから」というあたりのセリフで、「ジョジョだ~!」ってなれて楽しかったです。

あとは編集の泉京香ちゃんが、コミカルなキャラクターとして作品に良い効果をもたらしてたのがすごく好きでした。暗くなりすぎず、重たいテーマとしてもエンタメとして機能していたというか。この辺りはかなり『TRICK』の上田と山田のバランス感に似てるな~って印象です。

www.yamada-ueda.com

TRICKのURL、「yamada-ueda.com」なんだ…「trick-tvasahi」とかじゃなく…。

 

これはネタバレですが、「”女”が酷い殺され方をして悪霊となる」的なホラーが基本的には死ぬほど嫌いなので、今回の露伴先生の映画で呪いの元凶となったものが「死んだ女を愛していた男が、女を殺した世の中のことを恨み散らかして生まれた呪い」という点が好きでした。

彼の出自とか、やらなければならなかったこと、やりたかったこと、それに振り回された結果として自分ではなく妻が早世してしまったこと、そのすべてに対する怨みと呪いとして生まれた「黒い絵」が、それを観た人間に何をもたらすか、というオカルト。理不尽ながらも筋が通った呪いで、だからこそ露伴先生が解決できて、大変面白かったです。

 

あとは、ルーブルで案内をしてくれたエマ・野口役の方の演技がめ~~~~ちゃくちゃ好みでした。

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露伴先生たちと挨拶をされるシーンなどから、「本当に露伴先生がルーブル美術館に取材に来ただけ」という感覚に陥るほど自然な一般人感、凄かったです。生っぽい演技が一生好きなんだ、自分は…。

画作り、セリフ回し、脚本、音楽、役者、どれをとってもかなり好みの映画でした。良いものを観た!!!!!

 

 

それはそれとして、作品の感想に他の作品を引き合いに出し、片方を下げ片方を上げるというのは基本的にやりたくないんですが、同じ日に観た別の映画がマジで「自分の嫌いなタイプのホラー」を全部やるタイプの映画だったので、どうしてもそれについても書きたい。

作品名に関しましては、「2023年6月公開された有名監督作品ホラー映画」以上の情報は伏せさせてください。炎上が怖いので…。

・2023年にもなって「惨殺された女の怨霊」をすな

(やるなら貞子なみに「全員皆殺しにする爽快悪霊祭り」にしてくれ)

(「女が拷問、惨殺されるシーン」を作中の一番の盛り上がりに持ってくるな)

(怨霊がどうしてそうなったかで悲しい過去を持ってくるなら「退治」じゃなく「成仏」を選択肢に入れろ)

・キャラ設定を「天才達の集まり」にしたならちゃんと「天才達の集まり」にしろ

(チープ感しかないからそれっぽい単語をそれっぽく言わせるだけの天才の演出をすな)

(天才の集まりのわりに開発してるやつが10年遅れくらいの発想のやつなのやめてくれ)

・「それっぽいこと」を述べて詰めてない設定や細部について観客の考察に頼るやつすな

 

以上です。

この作品についてめちゃくちゃ考えたけど、やっぱ一番許せないのは「女の子に人気のある男性アイドルを主演にした(ホラー耐性なくても頑張って観に来る女の子が多いであろうことが容易に想定される)のに、作中一番の盛り上がりの恐怖シーンを生身の女性の惨殺シーンにしたこと」ですね。これに関しては「作品を利用した悪意じゃん」しか感想が持てないので…。

昔めちゃくちゃ面白い作品を作った監督でも、「今の時代に合う面白い作品」を考えるとこうなっちゃうこともあるのか…という気持ちになった一作でした。「潤沢な予算で作られたホラー映画が観たい!」という人にはおすすめの作品かもしれないです。